【スタッフブログ】 株式会社 フーム空間計画工房 北海道札幌市中央区の一級建築士・建築設計事務所

humu01.exblog.jp
ブログトップ
2014年 04月 10日

バリアフリーの設計のために

 浴室とバリアフリーというテーマで以前に設計した住宅を見学させていただきました。
私たちは現在 お体の不自由なかたが同居されるお宅の設計を2件進めています。
その一つ、十勝で計画中の奥様が実際にフームで設計したお宅の見学に来られ、特に浴室と玄関周りは、実際使った感じを体験していただき、私達も新たに気が付くことが多い機会を得ました。
 まず現在88歳のおばあちゃんと同居する住宅を訪問しました。このお宅は一昨年の夏に完成引き渡しをしました。一階はお茶の先生をしているおばあちゃんの家と茶室。二階はご夫妻の住宅という分離型の二世帯住宅です。まずは2階浴室です。浴槽の高さ関係は一階と同じで奥行きが15センチ長くなっています。特徴は洗い場と浴槽を分離したということです。分離することによりシャワー時にシャンプーが浴槽側に飛び散らないために、ぬれたり汚れたりする部分が限定され掃除やメンテナンスがとても楽になります。勿論現在元気でも将来バリアフリーな浴室や浴槽が必要になる可能性があります。その時に簡単な方法でリフォームが出来るような設計が必要です。
d0148036_23561979.jpg

d0148036_23565344.jpg

写真 浴槽、シャワールーム

現在わたくしたちの浴室のつくり方は浴槽が自立しているタイプです。メリットは多く
1)浴室内の隅々まで風通し、換気がよくなるような設計ができること。
2)通風窓や暖房、換気設備の設計に自由度があること。
3)防水層と浴槽が分離しているので仮に防水が劣化したとしてもそこだけメンテナンスできるし、浴槽の交換も可能です。
4)シャワールームを分離することでより浴室のお掃除が簡単になります。

次におばあちゃんの浴室です。
d0148036_23573245.jpg

バリアフリー浴室の図 ちなみにスケッチの人物の身長はおおよそ150センチを想定しています。
ご両親の浴室より狭いのですが、毎日のように入浴を楽しんでいます。
浴室の床から浴槽上までの高さが55㎝あります。一般的なバリアフリーのマニアルには45㎝となっていますから10㎝も高いことになります。さらにおばあちゃんは小柄で150㎝を切りますのでお元気なことを差し引いても十分高すぎることになります。しかし実際に使用してみてとても使いやすいということです。奥様がその動きをまねて見せてくれました。特に高齢者になると低く座って起き上がるのが苦手になるので標準より高めなスツール、便器などの方が立ち上がりやすく助かります。また浴槽の縁が高いほど、小さなお子さんが浴槽に頭から落ちて溺死するなどの事故の危険性が減ります。また介護する方たちにも高めの方が腰の負担が少なくなります。
d0148036_2358253.jpg

d0148036_23582685.jpg

d0148036_23584431.jpg

介護浴室1介護浴室2介護浴室4 
基本的な作りはご夫妻の浴室と一緒です。床から腰壁、シャワーがまともに当たる部分をFRPで仕上げその他の壁、天井を青森ヒバで仕上げています。
 おばちゃんのお話です。88歳で耳が遠くなっつてしまいましたが、とても元気で今でも月2回お茶の教室を開いています。普段から料理をする時などにキッチンカウンターに手をついて屈伸運動をしているそうです。その後お茶室を拝見させていただきました。このお宅の現場を担当したスタッフの川瀬とどうも仲良しのようで、川瀬が灰の手入れをしていました。
d0148036_23594262.jpg

d0148036_00180.jpg

d0148036_002650.jpg

キッチンで屈伸、茶室の炉、茶室全景、

次に12年前に引き渡しをしたお宅を訪ねました。当時90歳を超えたお婆ちゃんと同居し、100歳で大往生されました。そのため当時浴室や手すりなどの付け方を現場でいろいろ検討しました。ご夫妻は工芸、民芸の趣味があり札幌の工芸店ではお目にかかることのできないコレクションをお持ちです。また偏見なく若い作家さんのものも交じっています。
d0148036_005476.jpg

d0148036_012075.jpg

d0148036_014575.jpg

民芸1、民芸2、民芸ロフト
早速浴室を拝見させていただきました。
当時45㎝の高さを守るために浴槽を置く部分の床を洗い場から10㎝下げました。(下げなくては55㎝となります)ただ浴槽の部分のみ床を下げると浴槽周りの換気が悪くなり、また掃除もしにくくなるので浴槽よりも幅を30㎝広く下げその部分のみに樹脂製すのこを引きました。幅を狭くしたのはし、すのこの周りの掃除が大変でしたので最小限に軽くしたかったからです。写真左に立てかけてあるのが樹脂製すのこです。当時のお話を聞くと木の浴槽は縁がつかみやすくまた体が滑りずらいのでとても介護しやすかったそうです。
また完全な段差無よりは掃除しずらいかもしれませんが12年経った浴室は色も多少良い感じ変わって来てますが傷んだ様子はありません。ただ今から設計していれば浴槽高さを55センチまで高くして床はフラットに仕上げたと思います。
d0148036_022534.jpg

浴室
帰り際に玄関の段差についてご主人が解説してくれました。玄関土間と一階の床の段差がありますがその両方にまたがるように知人の木工家にベンチをオーダーしました。あえて少し傾いたベンチです。実際に見学に来られた奥様が試してみました。室内側のベンチが35㎝と低めでそこに腰かけ方向を変えて土間側に向かいそこで靴を履き立ち上がります。やはり土間側は高めの方ほうが立ち上がりやすくて移動がスムーズに行きそうです。
d0148036_032458.jpg

d0148036_034417.jpg

d0148036_04325.jpg

民芸段差 段差詳細、玄関バリアフリー図、
実際に高齢者が暮らしておられるお宅に絞って見学し、改めていろいろ気が付くことの多い一日でした。
これまでもバリアフリー対応が必要な住宅を設計してきましたが、極力メーカーお仕着せにバリアフリー商品は排除してきました。やはり視覚的な安心感というものもとても大切です。市販のものは全く建物に溶け込まず、さらにバリアフリーですよ、介護対応ですよと主張しているところが私には受け入れられません。実際に気の浴槽が利用者にとても使いやすく、トドマツで作った手すりは柔らかさ、温かさが伝わりとても評判がよいのです。お仕着せではなくぜひ感触や視覚てきになじんだものの制作に改良を重ねていきたいと思います。
さてもう一つのテーマ 木の浴槽についてです。
設計当初、木製の浴槽を設置するときに腐ってきても10年は持つと言われました。しかし「木の浴槽は痛むものだ」という概念そのものを打破したく、改良を重ねてきました。実際施工して12年目のお宅も全く浴槽が傷んだ様子がありません。同時に浴室の壁や天井もかびたところは一切ありません。決して防腐剤を注入したわけではありません。私の自宅が19年経ち浴室の壁を一度も拭いたことがありませんがそのことは後日説明したいと思います。
[PR]

by humu_sapporo | 2014-04-10 00:14 | □ミヤジマ ユタカ


<< オープンハウスのお知らせ      2014年4月2日旭川の引渡し >>