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【スタッフブログ】 株式会社 フーム空間計画工房 北海道札幌市中央区の一級建築士・建築設計事務所

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2018年 07月 25日

函館湯の川 命水の生むクラフトビール

5月に函館湯の川にオープンしたカフェ、「Endeavour(エンデバー)」。
この日はフームの函館のオーナーさん達と一緒に伺いました。施工は函館の佐々木建設土木さんです。

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乙部町のミネラルウォーター「ガイヴォータ」を製造する㈱ADVANCEが手掛けたお店です。
ビールを店内製造する「マイクロブリュワリー」併設カフェで、作りたてのクラフトビールとお食事を頂くことが出来ます。
また手作りの雑貨や天然素材を使ったアパレルなども展開しています。

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この日はペールエール、レッドエールの2種類のビールを頂きました。
(いつも乾杯の前に写真を撮れない自分が情けない・・・)
熟成室から直接グラスに注がれるビールは日本のドライなものと違い、ベルギービールを連想させるフルーティーな香りとコクが特徴的です。
何より出来たてならではのこの美味しさ・・・文字では表現できません。
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バーカウンターのすぐ裏側はビールの厨房と熟成室です。タップの数からお分かりの通り、
これから種類が増え最大10種類のクラフトビールがダイレクトに提供されます。
麦汁に酵母、ホップや自家製フレイバーを加えるなど様々な工程を経て、熟成2カ月ほどで飲みごろを迎えます。
マイクロブリュワリーは法改正で新規出店が難しくなり、大変貴重なお店が湯の川にオープンしたことになります。

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醸造スタッフは札幌出身で英文出身の竹田開醸造長(写真)と、海外ボランティアの経験もありお祖父さんがハンターという皆川楓主任。みなさん経歴がユニークなので、カウンターで色々なお話を聞きながら楽しみたいですね。
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料理を提供する八田孝料理長は、中華料理をルーツに道内の大型ホテルで15年の経験があるベテランです。
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この日頂いたエビマヨや油琳鶏も本格的な味でした。
中華にとらわれない柔軟なアレンジが、ビールとのマリアージュをますます楽しみにしてくれます。
子供たち用にもディナープレートを用意して頂きました。ビアホールではソーセージやジンギスカンが定番ですが、お酒を飲まない方も満足できるメニューです。

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雑貨とアパレルも充実しています。店長の原みずほさん(写真中央)は函館の有名店flaxの元店主。
手仕事の施された生活用品、自然系コスメ、器など、多彩なセレクトです。
子供たちは木のおもちゃで夢中になって遊んでいました。
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テーブルやカウンターは厚沢部町の鈴木木材さんの広葉樹を贅沢に使って頂きました。
丸太を無駄にしない木取り、乾燥の技術に感銘を受けました。
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カウンターのハイチェアは美瑛で地産材の家具を制作するSLOPEさん。
テーブル席の椅子は札幌市西区小別沢の巨匠、高橋三太郎さんの制作です。
なんとウインザーチェアはこの店のために試作から行った完全オリジナルで、
ものづくりをテーマとするEndeavorに花を添えて頂きました。
是非ビールと共にご堪能いただきたい座り心地です。

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お店は電停「湯の川温泉」の目の前です。大きな看板はありません。板張りの壁と真鍮製サインが目印です。
朝食、ランチも営業しています。是非脚を運んでみてください。

Endeavor 
http://www.shop-endeavour.jp/

そして乙部町では、より大きなプロジェクトが既に始動しています。
みなさまのご自宅でも、命水の生むクラフトビールが飲める日がすぐそこまで・・・



# by humu_sapporo | 2018-07-25 22:37
2016年 12月 21日

チーズ工房タカラ アイスシェルター設置

喜茂別町で、チーズ工房タカラの店舗兼工場を新築工事しています。

この建物の新たな試みは、チーズの熟成庫に氷の冷熱を利用した「アイスシェルター」です。
建物の施工は喜茂別の富田工務店さん、アイスシェルターは30年の実績を持つ帯広の土谷特殊農機具製作所さんです。
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この日は工事の要である製氷ユニットの設置でした。
製氷皿は168枚、氷の重量は土間床にためる氷も含めて約40トンになります。
冬に外気で凍らせた氷の冷熱を土間に埋設した配管によって取り出し、隣室のチーズ熟成庫の輻射冷房に利用するという仕組みです。
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ユニットを設置する前の室内です。見えているのは軸間断熱ですが、ここからさらに建物外部を付加断熱します。夏場は窓も断熱扉でふさいで、氷が融けきる前に再び冬がやって来て凍り始めるという想定です。できる限り冷熱を確保するため、シェルター空間は可能な限り氷で埋め尽くします。
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製氷ユニットの設置風景です。クレーンで建物近くまで移動しますが、ユニット自体も重量があるので大変技術のいる作業です。持ち上げるとトラッククレーンの後輪が浮くほどです。タカラさんは牧場なので、干し草ロールを荷台に乗せてバランスを調整するという一幕がありました。

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建物横から最後はハンドリフトで搬入します。ここもミリ単位の慎重な作業でした。
無事に1台目がおさまり、一同一安心です。
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このあとすべてのユニットが順調に設置され、給水配管がなされて設置完了となりました。皆様お疲れ様でした。

チーズ工房タカラは牧場タカラの新鮮な牛乳でナチュラルチーズを製造販売しています。牛のマークが目印です。
造り手の斉藤愛三(なるみつ)さんは新得町の共働学舎さんでチーズづくりを学び、ご実家の牧場で工房を初めて10年目になります。長期熟成タイプの「タカラのタカラ」、干し草と青草の時期で違う味わいを楽しめる「カチョ」、白カビの柔らかいチーズ「小さなトム」など種類も豊富で、ナチュラルチーズコンテストでも数多くの受賞歴があります。一般の方だけでなくレストランでも大変人気です。
この日はリコッタタイプの「ざるチーズ タカラのヤッコ」を作っていました。皆さま是非、味わってみてください。
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新店舗は来年春ごろオープン予定です。どうぞご期待ください。

# by humu_sapporo | 2016-12-21 14:44 | □タカダ ゴロウ
2016年 07月 12日

「きなりの家」2年点検

「きなりの家」の二年点検に立ち合いました。一年点検がタイミング合わずに初めての点検となります。名前の通り、極力素材のままを意識した建物で、初めてチャレンジしたこともありますので楽しみです。
まずは外観から。外壁はトドマツの荒木を木酢液で染めたものです。原材料から着色まで道産となります。元から色あせた感じの外観なので2年目でどうということはありません。というか10年経とうがイメージは変わらないでしょう。メンテナンスも極力必要ないディテールとなっています。
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延べ床面積32坪にカーポートという標準的にコンパクトな建物です。しかし一年中たてものの隅まで同じような環境になるので、今までの32坪と比べると実質大分広く使えます。
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玄関ポーチまわりです。外壁の質感が良く分かると思いますが、ムラの無い仕上げが敷きな人にはあまり向かないでしょうが、ローコストということもあって大人気です。玄関ドアはオスモのファーグリーンにいろいろ調色して渋いモスグリーンで仕上げました。横の表札とポストボックスは真鍮で一体となっていますが、2年経って良い色合いになっています。室内に入ると玄関土間(土足部分)も木の仕上げです。さらに言うと一回オイルステインのオリーブ色を塗っただけですが、すでに塗ったかどうか分からに感じですが、個人的にはとても好みにしあがっています。
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土足のところが板なんて、すぐ腐るでしょうとか、掃除が大変でしょうと言われるのですが、過去の経験から、コンクリートより綺麗で手入れが楽だと思います。
次に浴室ですが、今回はトドマツの板壁にFRPの浴槽です。換気と暖房をしっかりすると壁がカビないのは当然ですが、それにしても綺麗な浴室でした。しっかり洗濯物干し室としても使っているようですね。
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シャワーの石鹸分を洗い流すことがきれいに保つコツですね。あと浴室をしっかり温めることです。
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今回から水回りに使っていた集成材を辞めて無垢板のはぎ合わせにしました。コスト的にはちょっと上がったのですが、より綺麗でさらに集成材のような接着面が表に出てこないのでより一層手入れがしやすいような気がします。ということで先に飛びますがキッチンの様子です。
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引き渡しのとき以上に良い色になっていますね。お客さんも「ステンレスより手入れが楽だよね」と言ってくれています。
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内装の仕上げは木部 ほぼトドマツ素地、構造材はカラマツ、壁は漆喰の荒壁仕上げとしています。二年が経つとずいぶん落ち着いた感じになってきますね。ちなみに分かりにくいですが、キリムを引いていたところを
めくってもらい、床の日焼けの様子です。
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木という素材はとても便利で、使い方さえ間違えなければ、どんどん良くなっていくものです。狭い土地の定番になっている2階リビングダイニングです。
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今回の感想として、お客様がこの建物をとても可愛がっていることがとてもうれしく思いました。
どんな建物でも、建て主によって、どんどん良くなったり、魅力的になるものです。
ちなみにランニングコストは24時間全室暖房、毎日入るお風呂含めた給湯、調理をプロパンで年間17万くらい、電気料金年間3万円ということでした。さらに今度の冬の浴室の換気方法など工夫する事で快適性を保ちながら節約する方法を提案しました。

# by humu_sapporo | 2016-07-12 12:18
2015年 10月 13日

Replan最新号掲載

Replanの最新号vol.110の巻頭特集「住み家さがしの秘密。」に、6月にこのブログにもアップした南区築13年のhumu設計住宅について掲載されました。
住宅の価値観についてとても充実した内容になっています。
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もともと新築で土地探しの段階からご相談に来ていただいた、小さなお子様2人いらっしゃるご夫婦でした。たまたま売りに出されることになった13年前にhumuで設計したお家を見ていただき、すっかり気に入ってくださり新しいオーナーさんとなりました。
humuにご相談にいらっしゃるお客様はみなさん使い捨ての生活に疑問を持ち、必要ならば手を加えながら使っていくこと、そうすることで味わいが増し価値が増すことを理解し、何十年後かに誰かに喜んで受け継いでもらえるようなお家を...という方ばかりです。
今回この築13年のお家をご購入されたYさんも、無垢の床の傷や梁や外壁の風格の様なものを、新築には出せない付加価値としてご理解された結果のご決断だったと思います。


また、このReplan最新号には「価値の再考」というタイトルで宮島が札幌で最初に設計した築24年のお家とその価値についての記事も掲載されています。
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建物はしっかり作られればとても長持ちします。一方住まう家族の構成は確実に変化しますし、好みもライフスタイルも変わります。この事を念頭において私たちは設計に取り組んでいるつもりです。


10年、20年、30年と魅力的な家でいられるか、住み続ける価値、受け継がれる価値があるのか...
家づくりに限らず何事も目先ではなく将来を見据えてよく考えなければと思う今日このごろです。

ぜひ二つのブログ記事と合わせてReplan最新号を書店でどうぞ!
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# by humu_sapporo | 2015-10-13 12:57 | □ウメハラ ケイコ
2015年 08月 03日

林業という仕事

「とかちの木で家をつくる会」の方々が小樽で引き渡し間近のお家を見学にいらっしゃいました。こちらは道産カラマツを「コアドライ」という林産試験場の最先端乾燥技術を用いて、割れやねじれという倦厭されがちなカラマツ無垢材を、その名の通り芯まで乾燥させ、構造材としてふんだんに使用したお家です。こちらのお家とコアドライに関してはまた追ってご紹介いたします。
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今回、「とかちの木で家をつくる会」さんは倶知安の千歳林業㈱さんを視察するという目的で十勝から早朝ご出発でいらっしゃいました。小樽のこのお家で使用した立派なカラマツをご提供いただいたのもこちらの千歳林業さんということもあり、屈指の林業会社の伐採技術の見学やお話を伺うことができるということで、お願いして視察に参加させていただきました!

途中、同じく千歳林業さんのカラマツを使用した「日本キリスト教団 小樽教会」に立ち寄り見学。挟み梁の並ぶ天井が印象的な、温かい雰囲気の素敵な教会でした。1885年創立という歴史ある教会で、2年前に現在の姿に改築されたということです。床材や椅子、オルガンは古いものを使用しているそうですが、違和感なく溶け込んでいました。
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そして一同は倶知安へ向かい、若干緊張気味で本日のメインイベント、林業会の重鎮にしてカリスマ;角田社長の率いる千歳林業さんへ!
森林資源の現状や樹種別木材用途、千歳林業さんの事業内容を詳細なデータと共にご説明いただきました。印象的だったのは「夢は木のデパートをつくること」という社長のお話でした。どんな希望にも応えられる木を森にストックすること、イコール今どこにどんな木があるのかを正確に把握すること、同時にそのために木を育て森を管理することを意味します。木に深い愛情がなければ言えないことですよね。

続いて一行はバスで71年生カラマツの伐採現場へ。そこでははたらくクルマ好きでなくても目がクギ付けになるくらい、格好いいクルマ達が働いていました。林業先進国のフィンランドのPONSSE社製のアタッチメントを装着した機械です。
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ハーベスタと呼ばれるこの機械は木を切る、枝を払う、玉切りするというすべての作業を一連でできます。ものすごいスピードでまるでゴボウが皮を剥かれて切り揃えられるようにどんどん進みます。あまりにも軽々と手際がいいので勘違いしそうですが、オペレーターの熟練したスキルが必要なお仕事です。同時に労災率が20倍という危険な林業のお仕事。1本1本どんなクセがあって、どうカットすれば無駄を少なく活用できるか、加えてロスのない動きでグラップルという積み込み作業を行う専用車が積み込みやすいよう、用途ごとに切り分け置いていくというのを、瞬時の判断でやっていけるというのがプロ中のプロということです。ラッキーなことに、この日ハーベスタを操縦していたのが実力ナンバー1オペレータの藤原豊さんでした。この日の作業を終え、お疲れのところ私たちに挨拶に来て爽やかにそして熱くお仕事について語ってくださいました。千歳林業さんは技術者を育てるという分野にも力を入れ成果は確実なようです。
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この千歳林業さんのように、機械化導入と高度な技術者の育成で、生産性を上げ利益を生み、利益が出るから後世に財産を残そうと木を植え大切に育てるという循環が生まれると、熱くお話ししてくださった今回の視察のコーディネーターで林業試験場の酒井さん。

暑い日に熱い人たちに丸1日囲まれて、熱中症になってしまいそうでしたが、大変すばらしい体験をさせていただきました! この場を借りてお礼申し上げます。

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この目の詰まった美しいカラマツもほとんどが、梱包材や合板などに加工されてしまうというのが、需要があるとはいえ悲しい現状です。
今後、道産材を利用を利用した今回の小樽のお家のような建物が増え、千歳林業さんのような方々に一層そのお仕事を誇りに思っていただける、そんな家作りをしていきたいです。

# by humu_sapporo | 2015-08-03 00:43 | □ウメハラ ケイコ